1.
最初に触れたアメコミヒーローは、ジョージ・リーブスのスーパーマンか、アダム・ウエストのバットマンか、宇宙忍者ゴームズが…1960~70年代にはテレビにアメリカ製のドラマやアニメが溢れていたから、記憶が定かじゃない。
最初に触れたアメコミヒーローは、ジョージ・リーブスのスーパーマンか、アダム・ウエストのバットマンか、宇宙忍者ゴームズが…1960~70年代にはテレビにアメリカ製のドラマやアニメが溢れていたから、記憶が定かじゃない。
2.
いきなり、どうでもよくない話。
みんな、『スパイダーマン/偽りの赤』を読もう!
ピーター・パーカー不在の間、善意から彼の代役を務める少年の視点を通して、スパイダーマンの行動がいかに危険で高潔かを浮き彫りにした歴史的傑作だ!
https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156670235969">https://pocket.shonenmagazine.com/episode/1...
いきなり、どうでもよくない話。
みんな、『スパイダーマン/偽りの赤』を読もう!
ピーター・パーカー不在の間、善意から彼の代役を務める少年の視点を通して、スパイダーマンの行動がいかに危険で高潔かを浮き彫りにした歴史的傑作だ!
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4.
最初に手に取った翻訳アメコミは多分、光文社版の『スパイダーマン』だと思う。「結果を出さないと責任を果たした事にはならない」という自己客観性が感じられて、精神論に走りがちな日本の漫画とは違った魅力があると思った。
最初に手に取った翻訳アメコミは多分、光文社版の『スパイダーマン』だと思う。「結果を出さないと責任を果たした事にはならない」という自己客観性が感じられて、精神論に走りがちな日本の漫画とは違った魅力があると思った。
5.
「月刊スーパーマン」の存在は、大学生になってSF研先輩の堺三保さんに教わるまで知らなかった。びっクリプトン! 堺さんが蔵書を整理した時に全巻拝領して、今はアメ村のCROSSOVER @crossover_osaka さんに預けている。
「月刊スーパーマン」の存在は、大学生になってSF研先輩の堺三保さんに教わるまで知らなかった。びっクリプトン! 堺さんが蔵書を整理した時に全巻拝領して、今はアメ村のCROSSOVER @crossover_osaka さんに預けている。
6.
初めて買ったアメコミ原書は、大阪府吹田市の古本屋で見つけた『The Amazing Spider-Man (vol.1)』230号。スパイダーマンがパワーレベルの全然違うジャガーノートと戦ってボロボロになる話。孤立無援で追い詰められて捨て身の攻撃を試みる展開が泣ける!
初めて買ったアメコミ原書は、大阪府吹田市の古本屋で見つけた『The Amazing Spider-Man (vol.1)』230号。スパイダーマンがパワーレベルの全然違うジャガーノートと戦ってボロボロになる話。孤立無援で追い詰められて捨て身の攻撃を試みる展開が泣ける!
7.
最大の衝撃を受けたアメコミは、『Batman: The Killing Joke』。ティム・バートン版の映画公開を年末に控えてバットマン・グッズが街に溢れる1989年、雑貨屋で買った。まずアートに衝撃を受け、辞書を引きながら読み解くうちに夢中になった。本書の翻訳出版に関われたのは生涯の名誉。
最大の衝撃を受けたアメコミは、『Batman: The Killing Joke』。ティム・バートン版の映画公開を年末に控えてバットマン・グッズが街に溢れる1989年、雑貨屋で買った。まずアートに衝撃を受け、辞書を引きながら読み解くうちに夢中になった。本書の翻訳出版に関われたのは生涯の名誉。
8.
1978年、クリストファー・リーヴが演じたスーパーマンは完璧だった。「スーパーマンなら、きっと何とかしてくれる」という安心感を体現したようなビジュアル。映画は少々コメディ要素が多く、緊張感を殺いでいたのが残念。
1978年、クリストファー・リーヴが演じたスーパーマンは完璧だった。「スーパーマンなら、きっと何とかしてくれる」という安心感を体現したようなビジュアル。映画は少々コメディ要素が多く、緊張感を殺いでいたのが残念。
9.
1989年、ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の映画『バットマン』が日本では盛大な空振りだったというと、信じられるだろうか? 具体的な数字は知らないが、米本国では大ヒットした本作も、日本では「暗い」「主人公が弱い」「卑怯」などと言われ、一部マニアしか喜ばなかった印象。
1989年、ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の映画『バットマン』が日本では盛大な空振りだったというと、信じられるだろうか? 具体的な数字は知らないが、米本国では大ヒットした本作も、日本では「暗い」「主人公が弱い」「卑怯」などと言われ、一部マニアしか喜ばなかった印象。
9.
89年の映画『バットマン』に日本の観客が困惑したのは、事前に展開された大規模なプロモーションやキャラクター商品が、アダム・ウエスト版のような「明るくポップ」なバットマンを前提にしていて、今回の作品は「暗く不穏」である事に意味があるという教育に失敗したためだと思う。
89年の映画『バットマン』に日本の観客が困惑したのは、事前に展開された大規模なプロモーションやキャラクター商品が、アダム・ウエスト版のような「明るくポップ」なバットマンを前提にしていて、今回の作品は「暗く不穏」である事に意味があるという教育に失敗したためだと思う。
11.
上記の原書『The Greatest Batman Stories Ever Told』は、80年代後半の『ダークナイト・リターンズ』や『イヤー・ワン』を知っている読者がバットマンの歴史を通覧するため編まれたアンソロジーで、当時のバットマンそのものではなかった。訳文や改行位置も悪くて読みにくかったし。
上記の原書『The Greatest Batman Stories Ever Told』は、80年代後半の『ダークナイト・リターンズ』や『イヤー・ワン』を知っている読者がバットマンの歴史を通覧するため編まれたアンソロジーで、当時のバットマンそのものではなかった。訳文や改行位置も悪くて読みにくかったし。
13.
ここまでに触れた出版物の中で、自分がアメコミ翻訳を志す契機になった本が2冊ある。1冊は、この作品について語り合う相手を少しでも増やしたいと思った『Batman: The Killing Joke』。もう1冊は、「これなら俺がやった方がマシだ」と思った『バットマン オリジナル・コミック日本語版』。
ここまでに触れた出版物の中で、自分がアメコミ翻訳を志す契機になった本が2冊ある。1冊は、この作品について語り合う相手を少しでも増やしたいと思った『Batman: The Killing Joke』。もう1冊は、「これなら俺がやった方がマシだ」と思った『バットマン オリジナル・コミック日本語版』。
14.
そして、今でもあらゆるアメコミ映画の中で、ぶっちぎりで好きなのが『バットマン・リターンズ』。決して、完璧なドラマではない。展開が強引で、特にバットマンがペンギンに疑念を抱く転機が描かれていないのはほとんど致命的だと思う。でも好きなのだ。愛とはそういうものだ。
そして、今でもあらゆるアメコミ映画の中で、ぶっちぎりで好きなのが『バットマン・リターンズ』。決して、完璧なドラマではない。展開が強引で、特にバットマンがペンギンに疑念を抱く転機が描かれていないのはほとんど致命的だと思う。でも好きなのだ。愛とはそういうものだ。
15.
そういえば各社各スケールのバットモービルをはじめ、バットマンのプラモはだいたい買ったはずだが、全然完成してない。愛が重過ぎて手が進まないのである。唯一の例外が、ビリケン商会のソフビ版バットマンフィギュア。一目見て、手を入れる箇所なんかないと思ったから、そのまま塗って組んだ。
そういえば各社各スケールのバットモービルをはじめ、バットマンのプラモはだいたい買ったはずだが、全然完成してない。愛が重過ぎて手が進まないのである。唯一の例外が、ビリケン商会のソフビ版バットマンフィギュア。一目見て、手を入れる箇所なんかないと思ったから、そのまま塗って組んだ。
16.
1991年にはカプコンに入社した。映画と『キリングジョーク』で燃え上がったアメコミマイブームの中、『ファイナルファイト』のような北米向けのバタ臭いタイトルを多く作っている会社なら、趣味が活かせると思ったから。アメコミでよく広告を見たし。
1991年にはカプコンに入社した。映画と『キリングジョーク』で燃え上がったアメコミマイブームの中、『ファイナルファイト』のような北米向けのバタ臭いタイトルを多く作っている会社なら、趣味が活かせると思ったから。アメコミでよく広告を見たし。
17.
カプコンに入社した時に希望した職種はグラフィッカー。当時は絵を描くのが趣味だったので。しかし仕事として大量に絵を描くうちに悟った。自分は指先が震える持病があり、描く時は筋肉で締め上げて震えを止めていた。大量に描くと筋肉も関節も疲れて、体がもたない。
カプコンに入社した時に希望した職種はグラフィッカー。当時は絵を描くのが趣味だったので。しかし仕事として大量に絵を描くうちに悟った。自分は指先が震える持病があり、描く時は筋肉で締め上げて震えを止めていた。大量に描くと筋肉も関節も疲れて、体がもたない。
18.
グラフィッカーとして給料以上の仕事をするのは難しいと悟った私は、趣味と会社への恩返しを兼ねて、アメコミやグッズの個人輸入をして当時のアーケード開発部で受注販売した。中でも影響が大きかったのが、ホライゾン社のソフビフィギュア、ヴェノム。
グラフィッカーとして給料以上の仕事をするのは難しいと悟った私は、趣味と会社への恩返しを兼ねて、アメコミやグッズの個人輸入をして当時のアーケード開発部で受注販売した。中でも影響が大きかったのが、ホライゾン社のソフビフィギュア、ヴェノム。
19.
現代と違って、手に取りやすく信頼に足る筋肉の立体資料が乏しかった当時、この製品はカプコンのグラフィッカー達の作業を大いに助けたはずだ。『ヴァンパイア』以降の「シルエットと筋肉をしっかり描いてアニメ風に塗る」というスタイルは、これがなければ違ったタッチになっていたかもしれない。
現代と違って、手に取りやすく信頼に足る筋肉の立体資料が乏しかった当時、この製品はカプコンのグラフィッカー達の作業を大いに助けたはずだ。『ヴァンパイア』以降の「シルエットと筋肉をしっかり描いてアニメ風に塗る」というスタイルは、これがなければ違ったタッチになっていたかもしれない。
19.
このホライゾン製ヴェノム、アメリカのコミックショップに確か40~50個ぐらい発注して、「メーカーにも在庫がないから香港工場から日本に直接送る」と言われた記憶がある。それで手応えを感じたのか、純粋に製品のクオリティ故か、半年後ぐらいには日本の輸入雑貨店でもよく見かけた。
このホライゾン製ヴェノム、アメリカのコミックショップに確か40~50個ぐらい発注して、「メーカーにも在庫がないから香港工場から日本に直接送る」と言われた記憶がある。それで手応えを感じたのか、純粋に製品のクオリティ故か、半年後ぐらいには日本の輸入雑貨店でもよく見かけた。
20.
このホライゾン製ヴェノムを組んで会社の机に飾っていたら、後年カプコンに取材で訪れたウド鈴木氏が「やべ、ヴェノムじゃん!」と反応され、当時はゲームにも映画にも翻訳コミックにもまだ出ていなかったので、キャラをご存じだった事に驚いた。ゆっくり話す暇が無かったのは残念。
このホライゾン製ヴェノムを組んで会社の机に飾っていたら、後年カプコンに取材で訪れたウド鈴木氏が「やべ、ヴェノムじゃん!」と反応され、当時はゲームにも映画にも翻訳コミックにもまだ出ていなかったので、キャラをご存じだった事に驚いた。ゆっくり話す暇が無かったのは残念。
21.
他に個人輸入でカプコン社内に広く頒布したのは、『MARVELS』と『X-MEN(vol.2)』。まだ当時のグラフィッカー達のアメコミ認識にはばらつきがあり、「古くさい」と誤解している人も少なくなかった。最先端の作品でアメコミ文化への敬意を育てる事が、知識や資料以上に重要だと思った。
他に個人輸入でカプコン社内に広く頒布したのは、『MARVELS』と『X-MEN(vol.2)』。まだ当時のグラフィッカー達のアメコミ認識にはばらつきがあり、「古くさい」と誤解している人も少なくなかった。最先端の作品でアメコミ文化への敬意を育てる事が、知識や資料以上に重要だと思った。
22.
サンディエゴ・コミコンに初参加したのは1993年の出張。『ストリートファイター』のコミックを出版する事になったマリブ社がチケットを用意してくれた。この時、ユニバーサルの『ドラキュラ』『フランケンシュタイン』等のクラシック・モンスターがやたら目についたので…
サンディエゴ・コミコンに初参加したのは1993年の出張。『ストリートファイター』のコミックを出版する事になったマリブ社がチケットを用意してくれた。この時、ユニバーサルの『ドラキュラ』『フランケンシュタイン』等のクラシック・モンスターがやたら目についたので…
23.
「クラシック・モンスターの対戦格闘」という観点で企画原案を提出したのが後の『ヴァンパイア』。映画の版権はとらない方がいい、と最初から提言した。ユニバーサルのキャラクターはあくまでも映画のために創造されているので、ゲームに使うには能力が地味だったからだ。
「クラシック・モンスターの対戦格闘」という観点で企画原案を提出したのが後の『ヴァンパイア』。映画の版権はとらない方がいい、と最初から提言した。ユニバーサルのキャラクターはあくまでも映画のために創造されているので、ゲームに使うには能力が地味だったからだ。
24.
吸血鬼(男)、狼男、ミイラ、猫女、半魚人、フランケンシュタインの怪物、ロボット、宇宙人が戦う対戦格闘という主旨で、キョンシーやゾンビや亡霊侍や雪男は原案になかった。そして『ヴァンパイア』の開発作業には全く関与していない。自分は地味な映画の方のマニアで、邪魔になると思ったから。
吸血鬼(男)、狼男、ミイラ、猫女、半魚人、フランケンシュタインの怪物、ロボット、宇宙人が戦う対戦格闘という主旨で、キョンシーやゾンビや亡霊侍や雪男は原案になかった。そして『ヴァンパイア』の開発作業には全く関与していない。自分は地味な映画の方のマニアで、邪魔になると思ったから。
25.
1993年のサンディエゴ・コミコンで、深く印象に残った展示があった。アール・デコ調の暗くシンプルな線で描かれたバットマンのアニメーション。後に大人気を博して日本でも一部放送された『Batman: The Animated Series』である。
1993年のサンディエゴ・コミコンで、深く印象に残った展示があった。アール・デコ調の暗くシンプルな線で描かれたバットマンのアニメーション。後に大人気を博して日本でも一部放送された『Batman: The Animated Series』である。
26.
ゲーム『ヴァンパイア』のネーミング、文芸、アドバイスは、カプコンUSAのAlex Jimenez(アレックス・ジメネズ)という社員が主導した。ひょっとしたら彼が最初「クラシック・モンスターで対戦格闘作れば」と口頭で私に提案したのかもしれないが、そこは記憶が定かでない。
ゲーム『ヴァンパイア』のネーミング、文芸、アドバイスは、カプコンUSAのAlex Jimenez(アレックス・ジメネズ)という社員が主導した。ひょっとしたら彼が最初「クラシック・モンスターで対戦格闘作れば」と口頭で私に提案したのかもしれないが、そこは記憶が定かでない。
27.
原案を提出した以外、『ヴァンパイア』シリーズには関与しなかった私だが、一度だけ『セイヴァー』の追加キャラ案を求められて、「少女に擬態した人食い虫」と答えた。後のキュービィ。『宇宙家族カールビンソン』チカの丸パクだが、コミカルなチカより生理的にイヤな描写ができると思った。
原案を提出した以外、『ヴァンパイア』シリーズには関与しなかった私だが、一度だけ『セイヴァー』の追加キャラ案を求められて、「少女に擬態した人食い虫」と答えた。後のキュービィ。『宇宙家族カールビンソン』チカの丸パクだが、コミカルなチカより生理的にイヤな描写ができると思った。
28.
実際、キュービィはユーザーからも「生理的にイヤ」という声が上がったらしいが、それぐらいでちょうどよかったはずだ。全員がジェダやリリスのような美形だと顔ぶれが平板になる。思わず「寄るな触るなキモい」と言いたくなるような敵も必要だろう。
実際、キュービィはユーザーからも「生理的にイヤ」という声が上がったらしいが、それぐらいでちょうどよかったはずだ。全員がジェダやリリスのような美形だと顔ぶれが平板になる。思わず「寄るな触るなキモい」と言いたくなるような敵も必要だろう。
29.
カプコンに入社して最初に配属されたチームが、あきまん師が企画とアート両面の指揮を執っていた『パニッシャー』。かなり作業が進んでからの途中参加だったが、随所にコミカルな描写があったので暴力的な表現に変えるよう提案した。
カプコンに入社して最初に配属されたチームが、あきまん師が企画とアート両面の指揮を執っていた『パニッシャー』。かなり作業が進んでからの途中参加だったが、随所にコミカルな描写があったので暴力的な表現に変えるよう提案した。
30.
例えば自動車を破壊すると中から髪がチリチリに焦げた人物が出てきて目をパチパチさせる、と指示書にあったのを、黒焦げの死体に変えた。ハードなバイオレンスが人気の理由だった『パニッシャー』に、そうしたユーモアは合わない。
例えば自動車を破壊すると中から髪がチリチリに焦げた人物が出てきて目をパチパチさせる、と指示書にあったのを、黒焦げの死体に変えた。ハードなバイオレンスが人気の理由だった『パニッシャー』に、そうしたユーモアは合わない。
31.
特に大きな誤解は、チームの皆さんががパニッシャーを、ちょっと変わったスーパーヒーロー程度に思っていた事だ。彼はヒーローではなく、組織犯罪者を専門に狩るパラノイアの殺人鬼で、容赦なく悪人を殺すからこそ人気が出たのだと強調した。
特に大きな誤解は、チームの皆さんががパニッシャーを、ちょっと変わったスーパーヒーロー程度に思っていた事だ。彼はヒーローではなく、組織犯罪者を専門に狩るパラノイアの殺人鬼で、容赦なく悪人を殺すからこそ人気が出たのだと強調した。
32.
「パニッシャーはヒーローではない」という指摘については、私以上に強力な推進者がいた。カプコンUSAのJames Goddard(ジェイムズ・ゴッダード)。彼は製作途上のパニッシャーの表情が「正気すぎる」と言い、殺気溢れる険悪な顔に修正するよう主張、全パターンが直された。
「パニッシャーはヒーローではない」という指摘については、私以上に強力な推進者がいた。カプコンUSAのJames Goddard(ジェイムズ・ゴッダード)。彼は製作途上のパニッシャーの表情が「正気すぎる」と言い、殺気溢れる険悪な顔に修正するよう主張、全パターンが直された。
33.
次に配属されたチームは『エイリアンvsプレデター』。軍と企業がエイリアンの生物兵器利用を画策し、狩りに来たプレデターが人間と共闘する、という展開はダークホース社のコミック版を下敷きにしているが、版権元のFOXからは「権利が複雑になるからコミックの要素は直接残すな」と言われた。
次に配属されたチームは『エイリアンvsプレデター』。軍と企業がエイリアンの生物兵器利用を画策し、狩りに来たプレデターが人間と共闘する、という展開はダークホース社のコミック版を下敷きにしているが、版権元のFOXからは「権利が複雑になるからコミックの要素は直接残すな」と言われた。
34.
プレイヤーキャラクターの一人が日系女性なのもダークホース版の主人公マチコ・ノグチの影響。ただし先述の通りコミック版の固有名詞を残さないため、リン・クロサワと命名された。私はウォリアーなど人間サイズのエイリアンを担当。
https://amzn.to/3ejpGUh ">https://amzn.to/3ejpGUh&q...
プレイヤーキャラクターの一人が日系女性なのもダークホース版の主人公マチコ・ノグチの影響。ただし先述の通りコミック版の固有名詞を残さないため、リン・クロサワと命名された。私はウォリアーなど人間サイズのエイリアンを担当。
https://amzn.to/3ejpGUh ">https://amzn.to/3ejpGUh&q...
34.
ゲーム『エイリアンvsプレデター』の開発に当たっては、資料用として簡易だがコミックの翻訳を手がけたのも思い出深い。ダークホース版『Aliens vs. Predator』と『The Heat』の2篇。一部のネイティブアメリカンのように、狩りを至上の価値と見なす文化への理解をチームで共有するため。
ゲーム『エイリアンvsプレデター』の開発に当たっては、資料用として簡易だがコミックの翻訳を手がけたのも思い出深い。ダークホース版『Aliens vs. Predator』と『The Heat』の2篇。一部のネイティブアメリカンのように、狩りを至上の価値と見なす文化への理解をチームで共有するため。
36.
『Wolverine: Bloody Choices』というコミックでは、犯罪組織の幹部を証人として保護するフューリーと、犠牲になった人物の復讐のためその幹部の殺害を試みるウルヴァリンが戦った。私はゲーム『パニッシャー』のキャラ選択には関与していないが、この作品は資料として常備されていた記憶がある。
『Wolverine: Bloody Choices』というコミックでは、犯罪組織の幹部を証人として保護するフューリーと、犠牲になった人物の復讐のためその幹部の殺害を試みるウルヴァリンが戦った。私はゲーム『パニッシャー』のキャラ選択には関与していないが、この作品は資料として常備されていた記憶がある。
37.
コミックではだいたい紺色(黒)の戦闘服を着ているニック・フューリーが、ゲームでは茶色のセーターに緑のズボンというアーミー風の装いに変えられたのは、もちろんパニッシャーとの判別を容易にするためだろう。私の入社前に決まった事だから、確証はないけど。
コミックではだいたい紺色(黒)の戦闘服を着ているニック・フューリーが、ゲームでは茶色のセーターに緑のズボンというアーミー風の装いに変えられたのは、もちろんパニッシャーとの判別を容易にするためだろう。私の入社前に決まった事だから、確証はないけど。
39.
あきまん師からその修正の経緯を聞いた時、「いや、コミックにもキングピンをムチャクチャ大きく描いた作品がありましたよ」と『Daredevil: Love & War』を見せたら、大変口惜しがっておられた。版権ゲーム開発での理論武装の重要性に気づいた契機の一つである。
あきまん師からその修正の経緯を聞いた時、「いや、コミックにもキングピンをムチャクチャ大きく描いた作品がありましたよ」と『Daredevil: Love & War』を見せたら、大変口惜しがっておられた。版権ゲーム開発での理論武装の重要性に気づいた契機の一つである。
40.
ACゲーム『パニッシャー』のポスターや版権イラストを手がけたのは、ペンネーム「SENSEI」。カプコン入社前に美術教師の仕事をしていたのが由来だと聞いた。
面ボスは、『パニッシャー』のコミックを通読してなるべくハデな敵を抽出したそうだ。だからサイボーグやロボットもいる。
ACゲーム『パニッシャー』のポスターや版権イラストを手がけたのは、ペンネーム「SENSEI」。カプコン入社前に美術教師の仕事をしていたのが由来だと聞いた。
面ボスは、『パニッシャー』のコミックを通読してなるべくハデな敵を抽出したそうだ。だからサイボーグやロボットもいる。
41.
『パニッシャー』でグラフィッカーとしての私は、スーツを着たギャングや、サイボーグ「ボーンブレイカー」などを担当。いずれも基本パターンの原画とドットをあきまん師が用意して、それを改造して動画や顔替えを作った。火炎放射器の炎を作るのが特に楽しかった。
『パニッシャー』でグラフィッカーとしての私は、スーツを着たギャングや、サイボーグ「ボーンブレイカー」などを担当。いずれも基本パターンの原画とドットをあきまん師が用意して、それを改造して動画や顔替えを作った。火炎放射器の炎を作るのが特に楽しかった。
今夜はここでいったん切ります。また明日。